組織・研究分野
がん幹細胞プログラム
Cancer and Stem Cell Research Program

腫瘍分子生物学研究分野
Division of Oncology and Molecular Biology

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スタッフ

教授
髙橋 智聡
Takahashi Chiaki

助教
SHAMMA AWAD

助教
林  直之
Hayashi Naoyuki

特任助教
北嶋 俊輔
Kitajima
Shunsuke

目的、研究課題、最近の主な成果

 ヒトがんにおける臨床的エビデンスが豊富ながん遺伝子・がん抑制遺伝子を変異させたマウス・細胞を中心に,シンプルで分子生物学的・遺伝学的な解析がしやすい in vivo・in vitro がんモデル系を組み立て,発がん・転移・薬剤耐性・がん幹細胞を克服する突破口になる新規パスウェイを探索する。具体的な取り組みは以下。

  1. 数多くの増殖シグナルのアダプター分子となるRB蛋白質(pRB)の不活性化は,多くのヒトがんの悪性進展過程において観察される。pRBは,従来知られた細胞周期や細胞分化の制御だけでなく,細胞老化,DNA損傷応答,DNAメチル化,蛋白質イソプレニル化,脂質代謝,ミトコンドリア機能あるいはサイトカイン分泌を制御することによっても腫瘍原性や悪性度を規定することを見出してきた。
  2. 数がん細胞は正常細胞と較べると代謝様式が劇的に異なる。それは,好気的解糖と脂質合成の亢進であり,p53とpRBが協調してこれを制御すると考えている。その他,RasやMyc等のがん遺伝子も代謝制御に関わる。様々ながん化シグナルによって誘導されるメタボリック・リプログラミングが,がん細胞の悪性の挙動に与える影響とその機構を探索する。
  3. 悪性進展機構の深い理解に基づき,がん幹細胞が示すと想定される様々な挙動の一部を安定的に表現する in vitro がん幹細胞モデル系を組み立て,がんの幹細胞様表現型に関連する遺伝子の探索および新しいがん標的薬の開発に応用する。

図1

図1
RB蛋白質に集まる様々なシグナルとRB蛋白質から発せられる様々なシグナル。RB蛋白質の多様な働きを説明する。E2Fファミリーが最も有名な標的であるが,その他にも,多様な標的蛋白質(100種類以上)があることが知られる。

図2

図2
がん抑制遺伝子の複合的変異によって誘導される幹細胞様のがん細胞集団の蛍光多重染色像。