HOME | 共同利用・共同研究拠点 | 共同研究成果 | プロスタグランジンE2シグナルと細菌感染刺激の相互作用による胃がん組織へのマクロファージ浸潤誘導
実験動物中央研究所 日置恭二 金沢大学がん進展制御研究所 大島正伸
Gastroenterology 140:596-607, 2011
Oshima H, Hioki K, Popivanova BK, Oguma K, van Rooijen N, Ishikawa TO, Oshima M.
がん組織に浸潤するマクロファージは、tumor-associated macrophage (TAM)として発がん促進に作用することが知られている。本研究では、胃がん組織におけるTAMの浸潤機構およびその作用について解析を行った。胃がんモデルマウスのGanマウスでは、PGE2シグナル依存的にTAMが浸潤するが、PGE2存在下でもマウスを無菌化するとTAM浸潤による炎症性微小環境が形成されず、胃がん発生が顕著に抑制されることが明らかとなった。また、無菌化Ganマウスの胃粘膜にヘリコバクター・フェリス菌を感染させると、胃がんが発生した事から、細菌感染による自然免疫反応が、がん微小環境形成に重要な役割を果たしていると考えられた。この研究によりTAMの体内動態とその制御による、発がん制御の可能性が示された。
PGE2と細菌感染によるTAM誘導と微小環境形成 細菌感染刺激による自然免疫反応とCOX-2/PGE2経路の相互作用により腫瘍組織にTAMが浸潤して、微小環境を構築し、発がんを促進する。