共同利用・共同研究拠点

主な成果

AesによるNotchシグナル阻害を介した大腸がん転移抑制

Suppression of colon cancer metastasis by Aes through inhibition of Notch signalin.
共同研究者

京都大学大学院医学研究課 武藤 誠 金沢大学がん進展制御研究所 大島正伸

発表論文

Cancer Cell 19:125-37, 2011

著者

Sonoshita M, Aoki M, Fuwa H, Aoki K, Hosogi H, Sakai Y, Hashida H, Takabayashi A, Sasaki M, Robine S, Itoh K, Yoshioka K, Kakizaki F, Kitamura T, Oshima M, Taketo MM.

要 旨

がんによる死亡の大半は転移が原因であり、その分子機構の解明は転移の制御にも重要である。本研究では、Aesが内在性の転移抑制分子として機能している事を明らかにした。大腸がん細胞内で、AesはNotchシグナル経路の伝達物質の局在を制御する事でNotchシグナルを抑制している。Aes発現が低下すると、がん微小環境を構成する細胞により発現するリガンドの刺激により、がん細胞のNotchシグナルが亢進し、それにともなって浸潤能の獲得や転移巣の発生が促進される。実際にAPC遺伝子欠損マウスモデルでAes遺伝子発現を制御すると、腸管腫瘍細胞の顕著な血管内浸潤などの悪性化が認められた。この結果から、Notch阻害薬による大腸がんの悪性化進展の予防・治療の可能性が示された。


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AesによるNotchシグナル制御を介した大腸がん転移抑制機構
間質細胞が発現するリガンドによるNotchシグナルを抑制性に制御するAesは、その発現低下によりがん細胞の血管内浸潤能が亢進し、転移が促進される。